My Sailing Story 04
海上職
K.I.
二等航海士
船舶管理部 安全管理グループ
2018年入社 海洋工学部海事システム工学科卒

子どもの頃から「自然の中で働きたい」という思いがあり、さまざまな仕事を調べる中で、次第に“船乗り”へと興味が絞られていきました。そして海技系の大学へ進学しました。卒業後は当社(当時:JXオーシャン)に入社しました。
分社前は原油船とLPG船に半々で乗船していましたが、当社は日本人船員の配乗船がLPG船に限られているため、現在はLPG船で勤務しています。当社のLPG船は、アメリカ、中東で積んで世界各地で貨物を揚げます。
LPGは液化石油ガスなので、放っておくと気化していきます。気化したガスは、液体と比較して200倍以上の体積に膨れ上がりタンクの圧力が高くなるため、LPG船には液体に戻す「再液化装置」が搭載されています。船の荷物を入れるタンクの圧力の管理や、ブタンに使っていたタンクにプロパンをつなぎ、置換という特殊な作業も行います。こうした手順はLPG船ならではの知識・技術で、ほかの船種では学べません。近年、燃料としてのアンモニア活用が世界的に注目されていますが、アンモニアもプロパンやブタンと性質が近く、同様の取り扱いを求められます。だからこそLPG船での経験はさまざまな場面で生かすことができ、大きな強みになると感じています。
二等航海士の担当業務はゼロ・ヨン(0~4時、12~16時)の航海当直のほか、航海計画を作る仕事があります。分かりやすく言うと“船のカーナビを設定する”ような作業です。例えば、東京湾は浅瀬などが多いので、そこにマークを入れて船が行かないようにします。そのほか、出入港時の係留索作業の指揮、ライフボートの点検や予備食料のチェック。また、荷役開始時には、陸上と船をつなぐ配管(マニホールド)の監視も担当します。

0:00
航海当直
暗い海の当直となるゼロ・ヨン・ワッチ。二等航海士が操舵手との2名体制で行う。
4:00
勤務終了
次の勤務まで仮眠を取ったり、自室でゆっくり過ごす。
11:30
昼食
当直に備えて、早めに食堂で司厨長の料理をいただく。
12:00
航海当直
昼間のゼロ・ヨン・ワッチでは、海の生き物の姿が見られることも。操舵手との2名体制で行う。
16:00
勤務終了
勤務後は、ほかの船員との雑談や映画鑑賞、卓球などの軽い運動をして過ごす。入浴後仮眠を取り、夜の勤務に備える。

最近は、育休を取る船乗りがとても増えました。つねに誰かしらが育休を取っています。育休後は半年くらい家を空けることになるので、奥さんの実家近くに家を構える人が多いです。乗船中に配偶者へ負担が集中しないよう、みなさんそれぞれ工夫しています。
セカンドオフィサー(二等航海士)の航海当直はゼロ・ヨンなので、真夜中と昼間になります。夜の海は真っ暗ですが星空が広がっていて、ほとんど毎日、流れ星を見ることができます。
昼間に太平洋の真ん中を航行すると、吸い込まれそうなほど濃い海の色に「きれいだな」と感じながら当直します。ほぼ毎日、イルカも見られます。メキシコの海では1回だけシャチの家族を見ることができました。シャチはなかなか見られないので、ラッキーでした!また、8~11月頃のバルボア(パナマ)にはクジラがたくさんいて、パナマ政府から船に速度制限がかかります。
当直中は、本船と無関係な無線も次々と入ってきます。中国沿岸を航行しているときは勢いよく話す中国語、インド沿岸では独特の早口英語が流れてきたりと、その土地ならではの空気を感じる瞬間があります。船を走らせながら各国の文化を感じられるのも、外航船ならではの楽しさの一つです。
以前、フィリピン人クルーに「GOD LOVE(神の愛)は日本語でどう書くのか?」と聞かれたことがあります。
フィリピンではキリスト教徒が多く、信仰をタトゥーとして刻む人も珍しくありません。
私なりに考えて「神の寵愛」と書いて渡しましたが、その後まだ会えておらず、「ちゃんと入れ墨にしてくれたかな」と、少し責任を感じつつ思い出すことがあります(笑)。
いま初めて陸上勤務をしていますが、「まだちょっと実力不足だな」と感じています。船に乗っているときはあまり陸の目線で見ていなかったのですが、「陸で人に教えられるような知識まで身に付けておかないと…」と思いました。自分が理解しているだけでなく、誰かに質問されたときに、すぐに説明できるレベルを目指したいと思っています。職場へ行くのは初め少し怖かったのですが(笑)、移転して前よりコンパクトでアットホームなオフィスになったので、気持ちが楽になりました。船に乗っているときやり取りした人の顔も分かり、船上の仕事もやりやすくなりそうです。
二等航海士の上位の職位である一等航海士は、荷役の管理責任者という大変な役割があります。免許はすでにもっているので、任命されたら無事に仕事をやり遂げ、確実にこなせるようになることが目標です。そして、10年後くらいに「グレートキャプテン」と呼ばれる立派な船長になり、「陸でも海でもいろいろな人に教えたい」と思い描いています。それまではひたすら経験を重ねていこうと思います。

世界的に見ても、LPG船に乗れる船員の数は決して多くありません。そのため、LPG船の運航・荷役に携われるようになると、自分の市場価値は大きく高まると感じています。
もし、どんな船に乗るか迷っているなら、LPG船はとてもおすすめです。やることが多く難しい部分もありますが、自分の能力をすごく伸ばせる船です。
また、ワールドワイドに働きたいなら外航船という選択肢が必須です。外国人クルーと英語でコミュニケーションしながら働きたい人、海外の港に行ってみたい人にも外航船は最適です。
アメリカ寄港時には、上陸してショッピングモールやNASAを観光することもできました。ヒューストンではロブスターやTボーンステーキが絶品で、出港後は仕入れた食材で “Tボーンステーキパーティー” をするのが恒例です。同じ船で働く仲間と航海を楽しみながら、成長していけるのも外航の魅力だと思います。